国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい

あの父も、この星を見ているのだろうか。

マルスは、長いすに体を投げ出し、生死さえわからぬ父に思いをはせていた。


と、一人の侍女が、マルスの足元に跪いた。


「アニウス大臣が、王に目通りを願っております」


最近の重臣会議では、マルスとアニウスが対立することが多くなっていた。

マルスの出す改善案に、アニウスがことごとく反対意見を述べるのだ。

しかも、重臣の多くは裏でアニウスと繋がっているため、マルスの意見に賛同するものは少数だった。


今日の会議でも、ひと悶着あったので、マルスはアニウスが何らかの妥協案でも持ってきたのかと思い、目通りを許した。


すでに部屋着でくつろいでいたマルスと違い、アニウスはきちんとしたなりをして、

恭しく、マルスの前に膝をつき、深々と頭を下げた。


「何事だ?」


アニウスは、マルスの生母の実兄、つまりマルスの伯父にあたり、

もともと、年若くして王になったマルスの後見役であったため、

人目のない私室などでは、堅苦しい挨拶を抜くことが多かった。


そのため、アニウスの慇懃無礼な態度に、マルスは腹立たしさ覚えたが、

そんなことで怒りをあらわにしては負けになると、平静を装った。



< 278 / 522 >

この作品をシェア

pagetop