国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
あの父も、この星を見ているのだろうか。
マルスは、長いすに体を投げ出し、生死さえわからぬ父に思いをはせていた。
と、一人の侍女が、マルスの足元に跪いた。
「アニウス大臣が、王に目通りを願っております」
最近の重臣会議では、マルスとアニウスが対立することが多くなっていた。
マルスの出す改善案に、アニウスがことごとく反対意見を述べるのだ。
しかも、重臣の多くは裏でアニウスと繋がっているため、マルスの意見に賛同するものは少数だった。
今日の会議でも、ひと悶着あったので、マルスはアニウスが何らかの妥協案でも持ってきたのかと思い、目通りを許した。
すでに部屋着でくつろいでいたマルスと違い、アニウスはきちんとしたなりをして、
恭しく、マルスの前に膝をつき、深々と頭を下げた。
「何事だ?」
アニウスは、マルスの生母の実兄、つまりマルスの伯父にあたり、
もともと、年若くして王になったマルスの後見役であったため、
人目のない私室などでは、堅苦しい挨拶を抜くことが多かった。
そのため、アニウスの慇懃無礼な態度に、マルスは腹立たしさ覚えたが、
そんなことで怒りをあらわにしては負けになると、平静を装った。