オルゴール
ずっと、川を見つめていた空に、聞きたいことがあった。


「空って今まで、何人ぐらいの人と付き合ったの?」


空は少し瞬きをしたけど、すぐ答えてくれた。


「う~ん。ざっと10人ぐらいかな」


「多っ!!どんな人だったの、その10人は」


「付き合い始めたら、かわい子ぶってるやつ、
キスとかするとすぐ、人に言いふらすやつとか。
みんな、俺と合わなかったんだよな」


海と似てるところがあるんだ。うん、その気持ちわかる。


「じゃー、初恋の人は?」


「初恋の人!?恥ずかしいんだけど…。」


「じゃぁ、海の教えてあげる!」


いったん咳払いをして、話し始めた。


「小5の時にね、こんな川原で一人でいたの。
友達にいじめられたから泣いてた。するとね、
隣に男の子が来て、『どうしたの?ケガでもしたの?』
って言って、ハンカチとイチゴアメをくれたの。」


空は何回も頷いて、長い話を聞いてくれた。


そのアメをなめながら、いじめられたのって言ったら
『そんなやつ、俺が倒してやるよ!』って言って
励ましてくれた。そして、バックからイチゴアメが
いっぱい出てきて、全部くれたの。
それと、オルゴールを聞かせてくれた。
『オルゴール、きれいだね』って言ったら、
『これあげる』って言ってどこかに走ってっちゃったんだ。
その子が、海の初恋」


その日から毎日、川原に行ったけど、一回も会えなかったんだよね。
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