ないものねだり
「迷ってる?」
さっきの顔はどこへやら。
黙る私の顔を覗き込み、
そう聞いた主任の顔は、
とてつもなく
悪戯な顔だった。
「変な顔。」
「はぁぁ!?」
「迷ってなんかいないよ。ダメならやめれば良いだけじゃん。」
「そぉお?
んあ!いや!そんな簡単に辞めないでよ。」
そう、困ったような顔をして見せる主任は、
たぶん、
私の考えていることがなんなのか、解りはしないけど、
辞めはしないと踏んでいた。