たんぽぽ
 やっぱり親元を離したのがいけなかった、そばに親がいればきっとこうはなっていなかった、から始まり、高校は地元の高校に入れればよかった、と言われた。

 確かに中学3年生の12月頃に母から地元の高校の受験を進められたことがあった気がする。しかし、僕は再び受験をすることを考えることも嫌だったし、中学3年間で僕の頭の中に残っているものは何もないこともわかっていた。

 というのは、僕が変に成績がよかったといっても、定期テストの成績であり、それは、テスト前日に徹夜でテスト範囲のことを全て暗記してテストを受けに行っていたからである。

 テスト前の先生というのはやけに親切で出す範囲のことを全て言ってくれる。言ってくれなくてもテスト範囲からしか問題は出てこないとわかっていたのでテスト範囲を全て網羅しておけば簡単にいい点数はとれた。
 
 簡単にといっても前の日は、それこそ死に物狂いで暗記したが…。

 数学は全てのパターンの解き方を暗記し、理科・社会は教科書をまとめ、それを丸覚え。英語なんて授業で出てきた長文の日本語訳から全て英作できるようにした。

 これくらいやれば、定期テストで九割近く取るのなんて簡単だった。

 しかし、こんな勉強法では定期テストの点数は取れても実際に頭に入るものは何もなかった。テストが終わって数日すれば勉強したことは全て忘れていた。

 その証拠に学校でたまに行う企業の模擬試験では、最下位に近い順位をとったこともあった。

 このような学力事情のため、もし、高校入試を受けても何もわからなくて、ほとんどを白紙で出すことになっていたであろう。

 これらのことが僕にはしっかり自覚できていたので、高校受験なんて断固拒否したのだった。

 極めつけは、あんたにここまでどれだけかかっていると思ってるの!他の子はあんたのために他のことを我慢してきたんだよ、と言われてしまったことだった。

 僕にはそのことを十分わかっていた。

 私立の中高に通わせる授業料にも僕が六年間こっちで一人で暮らす費用にも莫大な金がかかっていることを。

 これも全て僕が中学受験をしてこの学校に入ったからだった。僕が中学受験を決意したのは、今思えば軽い気持ちからだったのかもしれない。
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