澄んだ瞳に



俺の頭の中は、智香ちゃんのことで、いっぱいになってる。


今までは、澪の幼なじみで、妹のように思ってたのにな。




智香ちゃんは、どこか男っぽいとこが、ある子だ。


幼なじみの澪のことを、いつも傍らで支えて、ぐいぐいと引っ張ってる。


でも、それって、もしかして自分がされたいと思ってることじゃねぇのか?



いつか、澪が言ってたのを思い出す。

「澪には、お兄ちゃんがいて、羨ましいな〜」

「智香も、お兄ちゃんが欲しかった。」と、智香ちゃんが言っていたと……

智香ちゃんは、一人っ子だもんな……。


智香ちゃんに、好きだとは、言えねぇな……。


智香ちゃんは、俺のこと、澪のお兄ちゃんとぐらいしか、思ってねぇだろし。


俺は、ある考えを思い付いて、智香ちゃんに言ってみた。


「智香ちゃん、今日一日、俺のことを、お兄ちゃんだと思ってさ………


言い終わらないうちに、急に、智香ちゃんの顔が曇った。


俺、何か変なこと言った?



そしたら、智香ちゃんは、寂しい目をして、俺の方を見て、言ったんだ。



悠哉さんは、彼女いてますか?


え――――――っ!?


突然、何を聞くんですか?智香ちゃん………。




「今は、いねぇよ……。」
と、俺は言った。





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