LOVE IDIOT
「(せめて涼は来るだろう)まだかなぁ・・・」

私は団扇を扇ぎながらみんなを待った。
壁にもたれて、携帯の時計を何度も見直した。



・・・遅い!



「こんなんじゃ花火始まっちゃうよ・・・」

誰でも良いから、早く来い!!

・・・そう思っていた時。





「・・・あれ?」





ふと目を細めて見ると、五メートル前に京さんらしき人が煙草を吸っていた。
旅館の浴衣を着ている。

私は一歩足を踏み出して、気付いた時には声を出してた。



「き、京さんッ!!」



「・・・?」

「!」

その人はこっちを振り返り、しばらく動きが止まった。
こ、こっち来る。





「宮比ちゃん!」





「やっぱり!」

「良かったぁ〜、やっと会えたね!!」

京さんは今日も一つ結びにして、煙草をカッコ良くくわえていた。
もう、胸はドキドキしない。

涼のお兄さんという、責任のせいだろうか。

「もー、みんな来ないから寂しかったんですよ!京さんがいて良かったぁ」

「俺も宮比ちゃん探してたんだ!」

「そうだったんですか!」

京さんは私の隣にきて煙草を捨てた。
別に吸ってても良かったのに。

「煙草、嫌でしょ?」

「そんなことないですよ!京さん、煙草くわえてる時はかっこいいですから!」

「くわえてる時だけ?」

「あっ、そういう意味じゃなくてもちろん今もカッコイイですよ!」



って、なにを言ってる私!!///



「花火、もうすぐ始まるねー」

「え、うそ!?早くみんな来ないかな・・・」

本当、みんな一体どこにいるんだ?
私はまた携帯を取り出した。

あ、また新着メールが。


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件名 無し
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もうすぐ着く。


―――――――――――


そ、そっけない!!


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