転んだら死神が微笑んだ
チリリリリリ〜ン♪


鳴らないはずの携帯が鳴った。



あかり「わっ。」


思わずわたしは、びっくりして携帯を手放してしまった。


イルミネーションがピカピカ光っている。


携帯を開いて、わたしは電話にでた。

あかり「はい…?」


『俺だよ。俺。』


あかり「誰?」

どこかで聞き覚えのある声だった。


『貴志だよ。画面見ろって。』


アイツだった…って、チョット待って!

あかり「なんで、アンタがわたしの番号知ってんの!?」

画面を見ると、『俺様』と表示されていた。

あかり「ていうか、どうして画面に表示されるのよ。それに『俺様』じゃ、わかんないわよ!」




貴志「そう、慌てるなって。」

あかり『慌てるわよ。』

貴志「お前が携帯落とした時、登録しといてやったんだよ。」

あかり『誰も頼んでなんかないし!』




貴志『落ち着けって、あかり〜。』

あかり「軽々しく呼び捨てにしないでって言ってるでしょ!」

コイツは、名前を教えた次の日から、わたしを『あかり』って呼んできた。



貴志「今日どうだったんだよ?」



あかり「えっ?」



貴志「『後で電話かける』って言ったろ?」


あの時言ってたことって、このことだったんだ。



あかり「いい日だったよ。」

わたしはそれだけ答えた。


貴志「…そっか。」




わたしも、ひよりちゃんみたいに変わってみようと思った。


『今日』という日に…。



あかり「ねぇ、貴志。」

貴志『ん?』




貴志「…。」



わたしは初めて、コイツの名前を呼んだ。


今度、ひよりちゃんに会う時までに、わたしも負けないように変わっていよう。

あかり「ありがとう。」



貴志「…まだ、早えって。」







少しずつ。


少しずつ、わたしの中で何かが変わろうとしていた。



   … to be continued
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