転んだら死神が微笑んだ
それから、レストランでおやつをして、帰った。


帰りは、もちろんタカシと二人きりだった。


電車の中、席はひとつしか空いていなくて、わたしたちは隣どうしで座った。


貴志「電車も乗り物だよな?」

あかり「アトラクションじゃないでしょ?」

貴志「そっか…。」

タカシはそうして、顔を後ろに下げていた。


あかり「ねぇ、どうして、あんなことしたの?」

貴志「観覧車が動いたから。」

あかり「なに、それ!」

貴志「過ぎたあとだと、おせーんだよ。」

あかり「遅いとか、遅くないとか、意味わかんないって!」

貴志「ごめん。」

あかり「さっき、聞いたから。」

貴志「夕日を見た後、見つめ合うと、お互いを幸せにできんだ…。」

あかり「え?」

貴志「だから、俺はお前に…」

タカシはわたしにキスをした。

わたしは思わず、タカシを平手打ちした。

わたしは、はじめて誰かと口づけを交わした。
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