月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る
「具体的に聞かせてもらえますか?」

「言っても、信じてもらえるかどうか…」

横倉の顔に暗い影がさしたように見えたのは、店の照明のせいだけではあるまい。

「お願いします、横倉さん」

あたしは身を乗り出して言った。

何かこう、訊いておかねばという気がしたのだ。

横倉は目をつぶって考え込むような仕草を見せた。

だがやがて

「本当に信じてもらえるかわかりませんが」

と口を開いた。

「しのぶを今のマンションに住まわせるようになってから、私は週末になると彼女のもとへ通うようになりました」

横倉は昔を思い出すように、視線を遠くへ飛ばした。

「何度も逢瀬を重ねる内に私はますますしのぶに惹かれていきましてね。口にこそしませんでしたが、結婚の意志はとっくに固めてました」

横倉の口調に照れたような含みが混じった。

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