月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る
「吉原さんを殺すにあたって、あなたは変わった手段を考えた。まず東さんに接近したのです。己の犯罪行為に荷担させるために」

横倉が東とコンタクトをとり、その後どういったやり取りを重ねたのかはわからない。

「しかしそのうちあなたは東さんが自分の店を持ちたがっていることを知った」

横倉はそこにつけこみ、店の開店資金を援助するとか言って東を仲間に引き入れたのだろう。

「最初から吉原さんを殺すことまで打ち明けてたかは定かでありませんが…」

「打ち明けてたよ」

横倉がようやく口をきいた。

「東は俺がしのぶを殺すことを承知したうえで、手を貸してたんだ。金のためにな」

横倉の口調には、東に対する侮蔑の色があった。

あたしはその口調に不快なものを感じた。

「話を続けましょうか」

達郎は淡々とうなずいただけだった。

「事件の夜、東さんはあなたとの打ち合わせ通りに吉原さんを公園に誘い出した。そして口実を設けてその場を離れた」

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