月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る
「証言を聞いて、共犯者がいれば可能なトリックだと考えた。そうしたら横倉に出会った」

「あの夢の話を聞いて、2人につながりがあるって考えたわけ?」

達郎はうなずいた。

横倉にしてみれば、あの証言は捜査の撹乱を狙ったもりだっただろうに。

逆にそれが命取りになろうとは。

しかし被害者の愛人と遊び相手がつながってるなんてことを、よくもまぁ考えついたもんだ。

「…ねぇ、達郎はあの話どう思う?」

あたしは声をひそめて言った。

「吉原しのぶが見たっていう夢の話か?」

あたしはうなずいた。

「横倉はなんて言ってる?」

「あの話は事実だって言ってるわ」

実際にあの夢を持ち出して、プロポーズを断ったにも関わらず、しのぶは東と付き合いはじめた。

『ふざけた女だ』

そこではじめて殺意が芽生えたと横倉は証言している。

「ということは東にあんな証言させたのも横倉の入れ知恵か」

「はじめは捜査の撹乱を狙ったらしいけど…」

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