切腹
切腹?
「正宗どの!」
同じ 勘定方の 宇治 春吉が 駆け寄りながら 呼び止めた
紅潮しており 興奮気味である
「我らの沙汰が
今朝 降りたでござるー切腹じゃ! 名誉な事で 良かったのぅ」
正宗は、平静を装った。とりあえず、断首ではなかったー断首と切腹は えらい違いで 断首は 罪人への死刑であり、切腹は 武士の責任の取り方の一つで 命は 絶たれるが 名誉な 死に方なのである
そうとはいえ…正宗は思った
(死ぬ事に変わりはあるまい。断首は痛いっと 同時に 死ねる。切腹の方が よっぽど苦しいわい なんとかして逃げたい!)
俺は 武士の子に 生まれて 父と同じ職ー勘定方ひとすじに 生きて来た 戦の経験もなく 血を見るだけで 脂汗 をにじませる弱い人間ー自覚している ごく普通に嫁さんも もらって子宝にも 恵まれ 真面目に 平凡で平和な毎日が 続くと 思ってたのに!何故 切腹なのだ 無念過ぎる…すべて 奴のせいだ!
勘定奉行 八反)
元勘定奉行 八反ーすでに 断首が執行されている。ー正宗は これまでの 八反田との関わりを 思い起こす…

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