イジワルな恋人


「おかえり」


リビングに入ると、おばあちゃんが笑顔で声を迎えてくれた。


「ただいま」


お弁当箱をキッチンに置きながら返事をする。


「どうだった? 体育祭」


優しく聞くおばあちゃんを振り向く。

70歳を過ぎたおばあちゃんの顔には、たくさんのシワが見て取れる。


とても優しい……穏やかな顔。


「……奈緒ちゃん? どうしたの、そんなにじっと見て」

「おばあちゃん……あたしが幸せになったら、お父さん達は嬉しいかな……」


あたしの言葉に、おばあちゃんが目を大きく見開いた。


そして悲しくも見える笑顔を作る。


「当たり前じゃない……」


その声は震えていて……、

目に溜まった涙が溢れ出していた。




零れた涙が、シワのできた頬を伝った。





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