イジワルな恋人


自然と緩んでしまう顔を両手で隠す。

だけど、亮との事が嬉しすぎて、それは留まることを知らずにあたしの頬を緩ませる。


「……だって、やらしい事してたんだもんな?」


恥ずかしさから縮こまっていると、後ろから、からかう声が聞こえた。

振り向くと、亮が椅子に座ったところで……。


「あれ? なんで?」

「……あいつうるせぇし、ベタベタしてきてうぜぇ。もう帰るっつってきた」


亮の言葉に目を移すと、少ししょんぼりしている山本さんが映る。

それを関先輩がなだめているみたいだった。


「当たり前だよねー。自業自得」


そんな山本さんの姿を見て、梓が少し笑みを浮かべる。


「……梓、そういう言い方はあまりよくないんじゃ……」

「人の男に色目使う女なんて最低だもん。

しかも相手が奈緒だって知りながら。同じクラスなんだよ? 

信じられないよね。ね、桜木先輩?」


梓が相づちを求めると、亮がピザに手を伸ばしながら返事をする。


「まぁな。……人の女口説く男も気に入らねぇけどな」


その言葉に笑う梓と、意地悪な顔をする亮の間で、またしても苦笑いするしかなかった。


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