イジワルな恋人
「……昨日、実は水谷に告白したんだ」
突然の言葉に振り返ると、そんな俺に中澤がふっと笑みをこぼす。
「安心しろよ。……亮じゃなきゃダメって言われたよ。
仮にも昔好きだった俺相手に、揺れた様子なんて見せなかった。
不安そうな顔はしてたけど……それも、俺との事でじゃない。
桜木の事を想って、だろ」
俺から目を逸らしながらそう言うと、中澤が立ち上がる。
そして天を仰いだ。
「俺にこんな事言わせるなよ。昨日の今日で傷ついてんだからさ。
……絶対に大事にしろよな」
中澤は一瞬だけ俺に視線を移して……屋上を後にした。
屋上に残った俺は、フェンスに寄りかかって、空を見上げる。
……奈緒、本当によかったのか?
中澤じゃなくて。
あいつ、かなりいい男なんじゃねぇの?
『亮じゃなきゃダメ』なんて……
中澤相手に、どんな顔して言ったんだよ。
……きっと、告白を断るのだって、つらかったハズなのに。
今、奈緒がどんな気持ちでいるのか……。
考えると胸が痛かった。
あいつが不安を抱えてるのが分かってるのに、このまま黙ってていいわけねぇよな……。