イジワルな恋人


「……―――」


そう思った途端、頭の中に中学の時の思い出がフラッシュバッグする。


憧れてたバスケ部の先輩……。

先輩に告白されて、付き合うことになったその日―――……。



―――……っ!



「……っいや!!」


思い出された過去に、反射的に、桜木先輩の手を振り払う。


「……どうした?」


自分の手を抱き締めるように胸の前で押さえていた時、桜木先輩の声が聞こえた。

その声に、過去に飛んでいた思考が引き戻される。

顔を上げると、少し心配そうにあたしを見る桜木先輩がいて……。


「あ……ごめん。静電気……。」


咄嗟に嘘が口をついた。


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