イジワルな恋人


「……よぅ」


部屋に入ると、亮がテレビの前のソファーに座ったまま声をかけた。

あたしも少しだけ間をあけて隣に座る。


「話って何?」


じっと見つめて聞くと、亮も目を逸らさずに答えた。


「……俺、今学期で学校辞めることにした」

「……え、」


亮の言葉に、頭が真っ白になる。

動揺があたしを包んで、真っ先に口に出たのは、素直な気持ちだった。


「なんで……、あたしのせい……?」


動揺するあたしの手を、亮が握りしめる。


「おまえのせいじゃねぇよ。どっちみちやばかったんだし。今までの積み重ねだろ。……で、俺、今年、高卒認定試験ってやつ、受ける事にしたんだ」

「……高卒認定試験?」

「……おまえ、ここどうしたんだよ」


あたしの左頬に、亮の手が触れる。


「え……? あ、ちょっと昨日バイトで……。そんなことより、」

「バイトでって……佐伯にやられたのか?!」

「えっと……そうだけど、でももう、」

「なんですぐに俺に言わねぇんだよっ」


なかなか進まない話に、少し苛立ち始めて……一気に気持ちを吐き出す。


「佐伯さんにやられたのは本当だけど、でももう解決して、佐伯さんは明日地元に帰るって言うから、大丈夫なのっ! 

それより……試験って? 

高卒認定って……18歳からじゃないの?」


怒ったみたいに早口で言ったあたしに、亮は少し戸惑いながら、話し始める。





< 414 / 459 >

この作品をシェア

pagetop