イジワルな恋人
初めて会った時は、まだ『10人同時進行男』で……。
付き合うフリを始めてから、亮を知りたいって思い始めた。
ゲーセンで林檎うさぎのキーホルダーをとってもらって、おそろいで鞄につけて。
……文句を言いながらもつけてくれた亮に、笑顔がこぼれた。
旧校舎裏で襲われた時も、バイト中、声をかけられた時も。
いつも助けてくれた亮の手を、心地よく感じるようになって……。
亮の言葉の裏の優しさに触れた。
初めてのキスはあたしから。
その後返ってきたキスにドキドキして……、本気で抵抗しなかった自分を不思議に思った。
お弁当を一緒に食べるのが当たり前になって、屋上が2人の場所になった。
……その頃からかな。
亮を好きだと思ったのは……。
真ちゃんの事に、中澤先輩の事。色々あって、亮が意外とやきもち妬きだって気付いて、
意地悪だって気付いて。
もっともっと亮を好きになったんだ。
意地悪に笑う顔も。
やんちゃな笑顔も。
大きな背中も。
力強い腕も。
あたしを見つめる優しい瞳も……。
すごく……好きになれた。
ずっとずっと、そばにいたい。
亮が、大好きだから。