イジワルな恋人
「ああ。……でも別にこんなんいらねぇだろ」
亮がケース内で山積みになっているキーホルダーを覗き込んで言う。
「これ、『林檎うさぎ』っていうキャラクターで、今人気なんだよ。
っていうか、例え人気じゃなくても、誰かにとってもらったモノは特別だよ。
あたし、彼氏にとってもらったぬいぐるみを部屋に置いたりとか、キーホルダーを鞄に付けたりするの憧れてたし」
「……おまえだったら大抵の男が喜んでつき合うだろ。
今まで付き合った事ねぇの?」
問い掛けに、あたしは一瞬だけ亮を見て……またケース内に視線を戻した。
「一回だけ……一日だけ付き合った事があるけど……」
「一日? なんだよ、それ。嫌な奴だったのか?」
「ううん。……好きだったよ。ずっと憧れてた人だったし」
「じゃあ、なんで……」
「付き合ったその日に、もう誰とも恋愛しないって決めたから」