イジワルな恋人


「……まぁ、男だし多少は考えるんじゃね?

ただ……」


涙の止まったあたしを少し見つめてから、亮が立ち上がる。


「好きな女泣かせてまでやりたくないけどな……」


亮の言葉に、怒りと恐怖でいっぱいだった心が、少し軽くなるのがわかった。

それは、自分の欲しかった答えを言ってもらえたからなのかもしれない。


「……普通はそうなんだよ。あいつらがおかしいだけ」


亮が背中を向けながら頭をかく。

その後ろ姿になんだかほっとして……落ち着いていく気持ちに気がついた。


……同じ男なのに、亮と一緒にいるとあたし安心してる……?

……嘘だよ、そんなの。


だって……男の人と一緒にいて安心するなんて……


そんなの―――……。



亮が座り込んでいるままのあたしに手を差し出した。



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