その手に触れたくて

先輩はあたし達の前から足を進めて姿を消していく。

強張っていた身体から力が抜けていく瞬間、夏美はまたため息を吐き出した。


「いい加減、隼人も来ればいいのに…」


うんざりとして吐き出された言葉に、


「えっ、来てないの?」


思わずあたしの口から、言葉が飛び出していた。

急に声を出した所為か、夏美は一瞬ビクっと肩を震わせてあたしに目を向け、それと同時にコクンと頷く。

頷いたからといって別にそれ以上、話を聞かなくてもいいと思う。

だけど、何で来ていないのか気になる。


そりゃ、隼人は何日か学校を休む事だってある。

でも今までは休む理由なんて全然気にならなかった。

だけど、今は違う。隼人の休んでいる理由がきになる…


あたしと会いたくないから?勝手に寝るだけ寝てしまった女とはもう会いたくもないとか?

色んな思考が過る中、


「…なんでっ、」


夏美に理由を求める為、小さくあたしは呟いた。

< 118 / 610 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop