その手に触れたくて
先輩はあたし達の前から足を進めて姿を消していく。
強張っていた身体から力が抜けていく瞬間、夏美はまたため息を吐き出した。
「いい加減、隼人も来ればいいのに…」
うんざりとして吐き出された言葉に、
「えっ、来てないの?」
思わずあたしの口から、言葉が飛び出していた。
急に声を出した所為か、夏美は一瞬ビクっと肩を震わせてあたしに目を向け、それと同時にコクンと頷く。
頷いたからといって別にそれ以上、話を聞かなくてもいいと思う。
だけど、何で来ていないのか気になる。
そりゃ、隼人は何日か学校を休む事だってある。
でも今までは休む理由なんて全然気にならなかった。
だけど、今は違う。隼人の休んでいる理由がきになる…
あたしと会いたくないから?勝手に寝るだけ寝てしまった女とはもう会いたくもないとか?
色んな思考が過る中、
「…なんでっ、」
夏美に理由を求める為、小さくあたしは呟いた。