その手に触れたくて

部屋の中から男達の笑い声が響く中、あたしはオレンジジュースを口に含みながら雑誌をペラペラと捲ってた。


「そういや、あそこのコンビニでバイトしてる女、颯太に告ったらしい」


不意に聞こえてきた直司の声に思わず反応し、あたしはチラッと目線を直司に向けた。

直司は床に腰を下ろし、その前にはあっちゃんが缶コーヒーを片手に雑誌を捲ってた。


「へー…、つーか颯太は興味ねぇだろ?」

「ねぇだろな」


訳わかんない会話に耳を傾けていると、隣から大きなため息が聞こえ、


「…つまんない」


それと同時に夏美の呆れた声が一緒に混じって漏れた。

ゆっくりと視線を夏美に向けると夏美はソファーの上に足を上げ膝を抱えてた。

その膝の中に顔を埋め――…


「…な、つみ?」


様子がおかしく思ったあたしは夏美に問い掛ける。

だけど夏美は、うんともすんとも言わなくて、ただ膝を抱えてるだけ。


その包まった身体にあたしは触れ、


「どうしたの?」


恐る恐る声を出した。


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