その手に触れたくて

「えっ、どこが?」

「どこがって全てに。モテモテじゃん、美月が羨ましいよ」

「お兄ちゃんはダメだからね。ってか辞めた方がいいよ」

「何で?」

「煩いから。過保護にされるよ?」

「いいよされても。美形のお兄様にされるのなら何だっていいよ」

「ダメ!絶対ダメ!あたしが嫌だから!!」


隣にいる夏美の腕を掴んで激しく揺するあたしに夏美は面白がってクスクス笑う。


「美月、何ムキになってんの?」

「なってない!!」

「嘘に決まってんじゃん」

「え?」


そう言った夏美に、あたしの口から間抜けな声が出た。


「そりゃカッコイイけど、響さんはあたしの憧れの人だから。それに妹がこれじゃねぇ…付き合えないわ…」

「えっ、何それ…どう言う意味?」

「理由はありません。ってか、携帯なってない?美月じゃないの?」


夏美はそう言ってあたしの足元にある鞄に視線を送る。

同じ様に足元にある鞄に目を向けると密かにメロディーが流れてた。


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