その手に触れたくて

いつもの様に昼休みは隼人と昼食を食べる。

今まで夏美と毎日食べていた中庭は夏美から隼人へと変わっていた。


夏美はお邪魔ムシだからと言って、屋上で直司達と共にするようになってた。


「なんか寒くなってきたら場所変えねぇといけねぇな」


ベンチに座る隣の隼人は紙パックのカフェオレを飲みながらそう呟く。


「だね。何処かいい場所あるかな?」


メロンパンを頬張るあたしは校舎を見渡す。


「ん〜…ねぇよなぁ…」

「まぁ教室でもいいじゃん」

「は?あんなゴチャゴチャした所、俺ムリ」

「でもないじゃん」

「まっ、今度探そうぜ」


そう言った隼人は飲み終わったカフェオレの紙パックをクシャリと握り潰し近くにあったゴミ箱に投げ捨てた。

そのまま隼人の手はズボンのポケットに行き、その中からタバコの箱を取り出した。


と、同時にポトンと何かが下に落ちあたしは無意識の内に左手を伸ばしてた。


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