その手に触れたくて
Γお願い!!助けて!!」
あたしの張り裂けんだ声が冷えきった空気を突き破り、辺りを響かせた。
そのあたしの声で一瞬にして目の前の3人の顔色が変わる。
Γど、どうしたの美月ちゃん…」
凛さんは少し顔を引きつらせながら混乱気味た声を出した。
Γお願い!!助けて…死んじゃうよ。…お兄ちゃん!!」
少ししゃがんで助手席の窓から顔を覗かせ、あたしはお兄ちゃんに向かってそう叫んだ。
チラチラ空き地を伺うあたしにお兄ちゃんは何となく気付いたのか、
Γ待ってろ」
そう言い残して車を発進させた。
お兄ちゃんが運転する車を目で追っていると、一台くらいは停めれそうな空間に車を停め、運転席からお兄ちゃんが姿を現した。
それに続いて悠真さんと凛さんも慌てて姿を現す。
こっちに向かってくるお兄ちゃん達を確認したあたしは、隼人がいる空き地へと走りだした。
未だに荒れた声を飛ばしまくる男達の真ん中で隼人は苦しそうに蹲っていて――…
Γ止めて!!」
急いで駆け寄ったあたしは男達の間を擦り抜けて、倒れ込んでいる隼人の身体に抱き付いた。
冷たい。
冷たい。
隼人の身体の体温が全てなくなってるかのように冷えきっている。
Γ…み、づき…。来る…な」
かろうじて目を開けている隼人は苦しそうに必死で言葉を吐き出す。
そんな隼人の姿に、一瞬にしてドバッとあたしの目尻から涙が溢れだした。