その手に触れたくて
「…迷惑」
スッと耳に飛び込んできた声に思わず顔を上げる。
冷たい様な、悲しい様な、寂しい様な…どの表情にも当てはまる顔をしてるのは、あたしがずっと待ってた隼人。
ずっと待って待ってして、現われたのはあれから2週間が経とうとした時だった。
両手をズボンのポケットに入れている隼人は、
「ずっと待たれちゃ迷惑」
そう面倒くさそうに言って息をフーっと吐く。
「……」
「あそこから見えんだよ、お前の姿が」
沈んだ声で言った隼人が視線を送ったのは、ビルとビルの隙間から見えるもう一つの建物。
そこから見えるのは二階の窓。
「…隼人、あのね、」
「だからマジで来んな!!」
あたしの言葉を勢いよく遮った隼人はポケットから両手をだし、あたしの身体を壁に押し付ける。
その動作でビクンと身体が震えると思うと同時にあたしの肩に隼人の顔が乗っかった。
「…は、やと?」
恐る恐る声を出すあたしの腕を隼人は強く握りしめる。
「マジで来んなよ、お前の顔なんて見たくねーよ…」
擦れた隼人の言葉に、あたしの目が潤みそうだった。