その手に触れたくて

「あたしさ、何かおかしい…」


そう言って夏美の手元から視線を上げると夏美はケラケラと笑い始めた。

あまりの出来事にあたしは唖然とする。

何で笑ってんの?


「おかしいって、何?おかしいのは前からじゃん。って言うかさ、最近の美月はおかしいよ」


ケラケラとことん笑った後、夏美は軽く息を吐き出しアイスレモンティーを飲む。

真剣に話そうと思ってんのに夏美の笑い声で、全然落ち着いた雰囲気にはなれず、思わずあたしの眉に少しだけシワが寄った。

そんなあたしをみて夏美は、


「あっ、ごめんごめん。で、どうした?」


そう言って笑いを抑えながら首を傾げあたしを見つめた。


「あたし、隼人が気になる」

「へ?」


言った途端、夏美は回していたストローの手を止め、すっとぼけた声を出した。

急に何言ってんのって感じの夏美は、あたしを見つめたまま瞬きすらしない。


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