廃陸の旅団
海中に潜水してからどのくらいの時間がたったのだろうか、すでに海の中は真っ暗になっていて恐らく大地もすでに夜になっているのだろう。

行く先を指す船のライト以外に光はなく、無明の闇だけが延々と広がっていく。

「こんな静かな旅も悪くはないな。」

乗客達は疲れたのだろう、皆寝静まっていた。

配布された布団でほとんどの人が眠る中、カムイだけはデッキにいた。

意識せずも、一人でいることが彼には落ち着くのかもしれない。

しかしそこに一人の来客が現れる。

「あ…あの。」

申し訳なさそうな声が後ろから聞こえるとカムイは笑顔で振り返える。

「眠れないの?こっちに座れば?」

思いがけないカムイの優しい言葉に照れながらリリーはカムイの隣に座った。

二人は何も話さない。

ただ二人だけの時間がすぎていく。

リリーは緊張で心臓が張り裂けそうになりながらもこの時間を心に刻む。

カムイもまんざらではないようだ。



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