廃陸の旅団
ニーガルの言う通りに、待っていると、ｼｬﾄﾞｰﾏﾝがﾕﾗﾕﾗと立ち上がった。

『ｷﾞｷﾞ…ｶﾞｶﾞ…兵育成ﾚﾍﾞﾙｦ…大幅に…超ｴﾃｲﾏｽ…ニーガル中将用ﾌﾟﾛｸﾞﾗﾑ…ｦ実行。』

壊れたオモチャの様にｶﾀｶﾀと奇妙に身体を揺らしていたかと思うと、ｼｬﾄﾞｰﾏﾝの影から新たなｼｬﾄﾞｰﾏﾝが生まれ、またその影から新たなｼｬﾄﾞｰﾏﾝが次々と生まれていく。

いつの間にか、カムイは周囲を八人のｼｬﾄﾞｰﾏﾝに取り囲まれてしまっていた。

｢ただ数が多くなったからって……何っ!?｣

先程までの鈍重さが嘘だったかの様な素早い攻撃。

一対一であっても楽ではないのに、正に八方からｼｬﾄﾞｰﾏﾝは攻撃を仕掛けてくる。

｢くっそ……こいつら急に速くなりやがった。｣

カムイは華麗にｼｬﾄﾞｰﾏﾝ達の攻撃を躱していく。

その姿はまさに――




｢――翼を持った鳥の様に優雅で繊細な動きだ。｣

傍観していた人達は皆、カムイのその動きに魅了されてしまっていた。

ただ一人ニーガルを除いては。



｢くそっ……はぁ、はぁ。｣

始めの内はどうにか攻撃を受け流していたカムイだったが、徐々にｼｬﾄﾞｰﾏﾝの攻撃を受ける様になっていた。

『ｷﾞｶﾞ…対象ﾉ持久力…低下……』

八体のｼｬﾄﾞｰﾏﾝの攻撃を避けるには常に動き、ｼｬﾄﾞｰﾏﾝ達の全てに注意を払い続ける必要があった。

それがカムイの体力を著しく奪っていたのだった。



｢ちっ。これだけの数に素手じゃ埒が開かないな。仕方ない……｣

カムイはｼｬﾄﾞｰﾏﾝから少し距離を取ると眼を瞑った。

怖いくらいに静かな瞑想。

カムイの身体を覆っていた黄金の光が、ゆっくりと右腕に集まっていく。

その光はまるで生きているかの様に収束すると、剣のような形を成した。


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