廃陸の旅団

ハイマンスはカムイを品定めしているような鋭い目で見る。

その表情からは何も読み取ることはできない。

｢……っ。｣

まるで心でも見透かされているかのような気分。

カムイは悪寒すら感じるのだった。

｢ほう……『緑柱眼』を発現したのか。とても希少な才能だ。｣

『緑柱眼』という聞き慣れない言葉。

カムイには分からなかった。

それを悟りハイマンスが低い声で語りだす。

｢緑光を放ち、その視界に写るもの全てを把握する。しかし、一度能力を発動したならば、光を完全に閉じﾌｫｰｽを貯める時間を必要とする。君の目も見えていないのだろう……？｣

｢オレの目"も"？｣

ハイマンスは初めて微笑む。
｢ローザスは両の眼に緑光を秘めている。まだ未熟でありながら副監の地位に着いている理由の１つはそれだ。｣

｢何故オレ達にそんな能力が芽生えたのですか？｣

カムイの質問にもやはり表情は変わらぬままだ。

｢理由など"それが必要だったから"これだけで十分なことだろう？｣

ハイマンスの言う通りに緑柱眼とはカムイにとって必要だから目覚めた能力なのか。

その答えはカムイの中で出ないままに、ハイマンスの雰囲気が一変するのだった。


｢さぁ問答はお終いにしよう。君の様な若く才能溢れる者を葬るのは、実にもったいないが、私も総監という立場上、部下を傷つけた君を生かしておくわけにはいかない。｣

徐々に徐々に……だがしかし莫大な量のﾌｫｰｽがハイマンスから溢れだす。

｢君はいっときでも私の部下だったからね。せめて恐怖や苦痛を感じる間もなく仲間の元へ送ってあげよう。｣

ハイマンスが椅子から立ち上がると、膨大なﾌｫｰｽが放たれた。

カムイは体中から汗が溢れだすのが分かった。

鳥肌が全身を覆う。