廃陸の旅団

風はあっという間にカムイを飲み込み一瞬にして消えた。

カムイは床に力なく倒れこんでいる。

「おや息があるのか。すまないね今すぐに止めをさそう。」

ハイマンスはカムイの額に軽く手を乗せた。

ゴーレムにでものしかかられているのではないかと錯覚してしまうほどのフォース圧。

しかもまだまだ力が上昇していく。

「来世では良い好敵手になってくれたまえよ。」

ハイマンスが手のフォースを一瞬全開にしようとした時。

「――『結鎖・氷狼陣』」

どこからか放たれた鎖がハイマンスを襲う。

ハイマンスは鎖を軽やかに躱すと後ろに飛んだ。

それを見てジンがカムイの元へと駆け付ける。

「なるほど君がもう1人の旅団の生き残りか……」

「……てめぇ等よくもうちの団員皆殺しにしてくれやがったな。許さねぇ。」

ジンのフォースが一気に上昇していく。

それはミノタウロス戦で見せたものよりも遥かに力強かった。

「宝珠にまとわりつくハエを処分しただけなのだがね……」

団員をハエ呼ばわりされたジンがキレた。

蹴りあげた地面が爆発したかのように、えぐれ吹き飛んだ。

そして一瞬にしてハイマンスの懐に入る。

「うらぁあっ!!」

「修羅道流体術・壱の型……『隼』」

ジンの鉄拳をハイマンスは左手で、引くようにして受け流した。

そして前のめりになるジンの腹に右手を入れ、同時に左足で足を後ろから払う。

ジンは後ろ回りに空中へと投げ出されてしまう。

そしてそれをジンが自覚した時、ハイマンスの鋭い正拳突きがジンの脇腹をえぐる。

「ぐっ、うがぁあっ。」

吹き飛ばされる中、ジンは左手の裾から出した鎖をハイマンスに投げつけた。

その鎖はハイマンスの足元に魔法陣を描きだす。

「――『結鎖・烈風陣』」

鎖の呪結界に閉じ込められたハイマンスに鋭い無数の風の刄が襲い掛かる。





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