廃陸の旅団

「何笑ってんだ、よ!!」

ジンの背後に回り込みソニアの刄が振りぬかれる。

ジンは鎖でそれを受け止めたが、鎖は引きちぎられてしまった。

切れた鎖が地面に虚しい音を立てながら落ちていく。

「『結鎖・氷ろう……」

「『嵐喰牢』」

ソニアに投げた鎖は弧を描き魔方陣をその軌跡に成していく。

しかし術を発動させようとフォースを練る一瞬の間に、アニスは結界を発動させジンの鎖を砕く。

粉々になった鎖が辺りに散らばっていった。

「よし、こんなもんだろ。」

すると何故かジンが立ち止まった。

不気味にフォースを放つその姿に、アニスは何か言い知れぬ不安を感じる。

「やっと諦めたのか?」

しかしそんなことも知らずソニアがジンへと襲い掛かった。

それを見てジンがにやりと笑う。

「退けソニア!!」

アニスの叫びなど気にもせずソニアは剣を振りかざす。

すると――

「なっ……雪?」

ソニアの目の前に粉雪が舞い踊る。

「なっ、なぜだ?鎖の結界など何処にも……」

手足を凍らされ身動きの取れなくなったソニア。

その周りには鎖の結界は確かに描かれてなどいなかった。

「『散鎖・氷狼結界』」

なんと辺りに散っていたジンの鎖が光りだし、落ちている鎖のフォース同士が繋がり、部屋全体に魔方陣を描いていたのだ。

「うがぁぁぁぁあっ。」

超零度の空間に舞う結晶に切り裂かれ、ソニアは床に倒れる。




< 224 / 583 >

この作品をシェア

pagetop