廃陸の旅団

それから二日後。

カムイ達を乗せた潜水艇が海底都市に到着する。

港に着くとようやくアストンが目を覚ましたので近場の宿に泊まることにした。


その夜、アストンは三人を自分の部屋に呼んだ。

「皆さん大変迷惑をおかけしました。そしてこれからまた迷惑をおかけすることになります。話を聞いたうえで私を連れていくかを選んでください。」

皆が頷くとアストンは神妙な面持ちで話しはじめる。

「先日使ったドライブ・オーバーは術者の全ての孔気を消費して発動する、古代魔術の禁術だったのです。強大な破壊力を生み出すその術には反動があります。」

少し俯いたアストンが静かにいう。

「細胞の核を生命維持の限界まで削り取るこの術を使った術者はフォースを永久に失ってしまうんです。」

「……なっ!?」

孔気拡散障壁を破壊してしまうほどの強力な孔気波を打ち出す術なだけに、ある程度の犠牲は予測されたが。

一生フォースを使うことができなくなる様な危険な術があるということに、カムイは言葉を失う。

「つまり僕はもう、マターとしての力を使うことができなくなりました。そこで、これから研究施設に行く際に、足手纏いと思うならばここで見捨ててください。」

アストンがそう言い終わるとカムイは、ジンとマールを見る。

二人はしっかりと頷いた。

そう、3人の答えなど確認する迄もなく最初から決まっていたのだ。

「テリアの仇をとるのにあなたが必要です。一緒に来て頂けますか?」




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