廃陸の旅団

そうしてカムイ達がクラナドの家を離れる僅かばかり前。

アストンはアンバー・タワーの総監室を訪ねていた。

扉を開けるとそこには……

「ろ、ローザス副監!?」

そこには何故か副監であるローザスの姿があった。

アストンが入ってきたことにローザスが気付き、椅子を反転させる。

「アストン准将……軍を裏切った者がいまさら何のようかな?」

アストンはローザスの前へと歩み寄り、深々と頭を下げる。

「如何なる処罰も受ける覚悟はできています。ニーガル中将の分まで私が……」

「…………。」

ローザスはアストンをじっと見つめ、無言で一枚の紙を投げた。

「ニーガルは殉職にともない名誉特進。大将になった。それは着位証明書だ、薄っぺらい紙だが、墓前にでも供えてあげなさい。」

「は……はい。ありがとうございます。」

ローザスはまた椅子を反転させる。

僅かばかりの沈黙の後、ぽつりと呟くように言う。

「どんな罰でも受ける。その言葉に嘘偽りはないな?」

「……勿論です。」

アストンの言葉には欠片ほどの迷いもなく、ローザスは不敵に笑った。

「アストン。お前は今日限りでB.A.S.E.から除名する。そして極秘の任についてもらおうじゃないか。」

「極秘の任務ですか?」

「できればカムイとも協力しなさい。その任とは……」

この瞬間を境にこの世界の運命は、一気に動き始めるのであった。







< 352 / 583 >

この作品をシェア

pagetop