廃陸の旅団

全てを解する者


ゆれる船上で話しはじめたスクルドに皆の視線が集まっている。

スクルドはそれを気にしてか、しないでか目を瞑りながら話している。

「まず、先のジンの疑問の結論から言うならば、ワシの孫娘だからスクアロをさらったわけではない。」

「……では、何故?」

船は時折、大きな波に打たれてガタッと左右に揺れる。

「スクアロのアーカーとしての能力が無属民の悲願達成に必要不可欠だったからじゃよ。」

「悲願ってなに?スクアロの能力ってなに?」

「無属民の悲願とは言うまでもなく、我らB.A.S.E.を転覆させ世界制覇をすることであろう。」

「その為の力がスクアロさんにはある、と?」

アストンにはそれが絵空事にしか感じられなかった。

慢りでもなんでもなく、今の軍の戦力から言って、たった1人の豪傑を加えたところでどうこうできる様な安いモノでなかったからだ。

「その為とは何を指しているのかな?」

「それだけの絶対無比の攻撃能力があるのでしょう?」

スクアロは首を振る。

「否。単純な戦闘能力をとったらスクアロは今の君達と対等くらいだろう。スクアロの能力は戦闘には不向きじゃからの。」

「戦闘ではない?なら、やはり老師と同じ治癒の力ですか?」



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