廃陸の旅団
白熱していく戦いの中。

ハイマンスはいつもの落ち着きを取り戻そうとしていた。

バットは確かにローザスから生まれた、しかし見れば見るほどに人間とは言い難いではないか。

しかし、そういった考えが差別を生み出すのだろうと彼は理解していた。

種族、容姿、思想、貧富、果ては自他。

それだけの違いで我々人間は恐怖しおとしめる。

あってはならぬことだが、そうしなければ弱い自分を守れないのが人間という生きものなのだろう。

自分はこのローザスの子を殺すが、せめて事が終わった後の世界では争いや差別がなくなれば良い。

そう思いハイマンスは奥義を発動する。


何百、何千という数の矢が放たれる。

それを回避していくバットはあることに気付いた。

矢の後ろに光の線がくっついているのだ。

それをよく見ると糸だった。

糸はすべてハイマンスの指につながっている。

矢は壁や天井に張り巡らされ、矢についていた糸がまるで蜘蛛の巣のように結界を張り巡らせていった。

「アーチャー。スリンダー。ウェイバー。三職の技を応用した奥義『音叉の社』。終わりだバット。」

ハイマンスは指に繋がっていた糸を弾く。

するとさまざまな強弱に張り巡らされた糸が音波を発した。
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