廃陸の旅団
部屋全体を巻き込むような巨大な暴風だったにも関わらず、その中心にいたマールは無事だった。

そして右奥の壁が破壊され隣の部屋へと続く穴ができていた。

そこには血だらけで倒れるアストンとゲルゴアの姿があった。

「私達はローザスの瞳と脳に繋がれ、全員が全員の状況を把握できるようになっているの。今さっきゲルゴアがやられたばかり、倒れているアストンも重傷よ。早く行ってあげて。」

リリーは笑顔でそう言うとアストンの方を指指した。

マールは急いでアストンの元へと駆け付け、治癒を始めた。

「アストン。アストン!!」

マールはアストンに呼び掛けながら必死で治癒をする。

しかし、血は止まらず、前形を留めずボロボロになっている右腕は治療の効果がなかなかあらわれない。

「私の力だけじゃ足りないの?そんな!!アストンしっかりして。」

すると治療するためにアストンへとかざしていた手に、もう一人の手が重ねられた。

「私の力も使って。大丈夫、私達二人ならできないことなんてないわ。」

必死で治癒をするマールにリリーも力を貸す。

二人の治癒によりアストンは一命をとりとめた。
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