廃陸の旅団
何もなくただ広いだけの空間。

トンネルの中であるのに天井には空が見えていた。

虹の掛かる綺麗な空が。

「成長したんだねカムイ。どうだい?虹のある空ってのもオツなものだろう。」

虹に気をとられていたカムイの前方に、いつのまにかフード被り全身をローブに包む男がたっていた。

「あんたは…?」

カムイの問いに答えることもなく男は懐から刀を取り出した。

瞬く間に刄はカムイの肌を切り裂いた。

近づいたのはおろか、いつ動いたのかさえわからなかった。

「なっ…!?」

あわてて孔気刀を取り出すカムイだったが男は、その一瞬の間さえも与えてはくれない。

あと一瞬「緑柱眼」を発動するのが遅れていたら、その刀は今頃カムイの心臓を貫いていただろう。

はら。っと男のフードが風で取れ顔が顕になる。

「あ、あんたは!!」

「久しぶりだなカムイ。にしても久方ぶりに会った父親に、あんたは無いだろう。」

あの時から変わらぬ笑顔。

まぎれもなくカムイの父ラクト本人であった。
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