廃陸の旅団

そうして、ゆっくりゆっくりと沈んでいくと、足元に蛍の光のような小さな光が見えてきた。


その光に目を凝らしていると少しずつではあるがこちらに近づいてきているのを確認できた。

「あれは出口ですかね?」

「あ、そうかもしれない。だんだんと大きくなってきてるし。」

徐々に光が大きく強くなり、しだいに周りの岩も照らされるようになってくる。

その頃にはもう二人は目でお互いを確認できるようになった。



光が見えてからも、同じようにゆっくりと沈んでいく。

今度は光の中に僅かに色彩が見られるようになる。

田畑の緑。光の白。

やっと導穴の岩肌を抜けると目の前に大世界が広がる。

そこには大陸となんら変わらない風景があった。

「凄い。ここがオレ達の土地の下にあるだなんて信じられない。」

「そうですね。本当に綺麗なところ……あ、あれは太陽?」

リリーの目を引いたのは地下世界にも関わらず燦然と輝きを放つその物体だった。

それは人工太陽と言い、朱色に光を放つ発光体で、近年のマルテリウムの発展により生み出された最高の産物であり、神秘と称されるに最もふさわしい物であった。



降下は続き、いったいどれくらいの時間を浮遊していたのだろうか。

着地した足に感覚が戻るのに少し時間がかかった。

「不思議な感覚……」

「ええ、立つって意識をしたのは初めてですよ。」

立つことを改めて意識し、その感覚を呼び覚ます。

二人がようやく立ち上がると、目の前に古代都市のような石造りの建造物が並んでいた。

乳灰色の町並みが二人を迎える。
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