廃陸の旅団

老人はゆっくりと立ち上がると、愉快そうな顔で言う。

「わしと一緒なら聖域までは入れなくとも修道院までなら入ることができる。」

「それで条件とは?」

老人は二人をジロジロと見回して何か納得すると話しを続けた。

「見たところお主等は相当なフォース使いの様じゃな。それを見込んでの条件じゃ。」

ある程度鍛え上げられたフォースを持つ者には一種独特の雰囲気があるもので、老人は2人からそれを感じとったようだ。


「最近になってセイクリッド・モースの東の坑道でアンダーワームと言う怪物が出現するようになったんじゃ。」

「坑道ですか?」

「うむ。その洞窟は鉱物の採掘が行われていて、そこで採れる鉱石はわしら核下地区の者にとっては重要な資金源となっていたんじゃが……」

老人は悲しそうなため息をつく。

「そこにアンダー・ワームが現れて、採掘が出来なくなってしまったて言うわけですね?」

「うむ、そこでお主達にアンダー・ワームの駆除をお願いしたい。」

「つまり、私達がアンダーワームを退治すれば修道院に連れていってくれるってことですよ……ね?」

老人はにっこりと笑う。

笑顔になると抜けた歯の空洞が滑稽で笑ってしまいそうになる。

「その通りじゃ。若者は理解が早くて助かるわい。して、返事は如何かな?」

2人は顔を見合わす。

そして――

「アンダー・ワーム退治、しかと受けさせて頂きます。」

「そうかそうか。」

カッカッカと笑うと老人は2人を手招きして歩き始める。

しかし数歩進んだところで老人は立ち止まって、振り返る。

「自己紹介を忘れておったの。わしはこの『アンダーバーグ』の市長のロディーと言う者じゃ。」

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