廃陸の旅団
「まったくワシの院におったころから変わらんのマリアは。」

ロディーは優しく微笑む。

マリアはロディーには頭があがらないらしい。

「けど、ロディー……マールには仕事を頼むなといつも言っているでしょう?」

「マール様には色んな経験が必要じゃと思うんじゃがの、違うかね修道女様?」

「違わなくはありません。しかしマールはまだまだ他に学ぶべきことが沢山あります。だからもう余計なことは……あら?」

すると後ろにいたカムイとリリーにマリアが気付いた。

「あら、後ろにいる方々はお若いけれど、新しい教主様かしら?」

「いやいや、わしの客人じゃよ。何でもマール様に頼みたい用があるとか。」

二人がおじぎをするとマリアは二人よりも深く丁寧におじきをした。

「マールに用ですか。しかしマールには掃除を抜け出した罰としてこれから神木の掃除をさせようと思っていますの。それまで待って頂けますか?」

「えぇ!?ちょっと聞いてないよぅ。神木ってあの虫に喰われまくりのあの神木でしょ?」

マールがぶーぶーと文句を言うと修道女がきっと一睨みをした。

もちろん、黙れ。という意味である。

「あの……ではその掃除を私達も手伝ってもよろしいでしょうか?」

リリーが言うと修道女はぱんと手を叩いて、目を輝かせながら一言。

「まぁ、なんて優しい方なのでしょうか。どっかの誰かさんにも是非見習って欲しいものですわ。」

マリアはどっかの誰かさんだけを見てそう言った。
< 92 / 583 >

この作品をシェア

pagetop