廃陸の旅団

聖戦騎士団

マールの案内で修道院の小さな裏口から出ると、そこには一本の道だけが延々とつづいていた。

何もない、ただ果てなく続く花の道。

「それで、私にさせたい仕事って何なの?」

花畑を横切るロマンチックな雰囲気を堪能しながらも彼らは軍人である。

場所にそぐわない内容の話だってしなければならないのだ。

「スフィアの融合消滅って知ってる?」

「アーリアが開発した超難度の治癒術じゃない!!私だって古い本でしか読んだことないよ?」

花畑を進んでいくと段々と花がなくなり雑草ばかりになっていく。

急に寂しげな雰囲気になる。

「確かスフィアのフォースに逆回転のわずかに強いフォースを流すことで出来るとされているけど……その微量のフォースを調整するのが神業とされているのよ。私だって正直できるかどうか……」

マールの曇った表情。

治癒の天才と名を馳せるマールですらも、困難と言わしめるほどスフィアの融合消滅は難しいのだった。

「でも、まあ。それなら調度良いわね。」

「え……何が?」

雑草道をも抜けると大地がむき出しになった、荒れ果てた荒野に出た。

何度も人が通っているのだろう、その道だけはわずかに窪んでいる。

所々に巨大な窪みがあり、砂礫によって滑らかな谷を作り出している。

「レッド・スフィアの浄化をするんでしょ?だったらブルー・スフィアが必要になるわ。そのブルー・スフィアの一つが、今から行く神木に封印されてるの。」

荒野をどんどん進んでいくと大きな枯れ木が三人の目の前に現われた。

枯れ木の周囲には白い縄がまいてある。
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