アイショウ
私が呆然としていると後ろから声が聞こえた。


『すみません!』


その声で我に返った私は、続けて
『すみません。トイレにいっていて遅れました。』
と言った。



先生は
『トイレね。あそこ音聞こえないから。一応間に合ったし早く席に着きなさい。』
と言って入れてくれた。




せっかく国語出来たのに…こんなんじゃ落ちちゃうよ…。



席に着いても私は試験に集中出来ずにいた。



もういいや…
私立は校則が厳しいから、近くの学校へ行こう…
どうせ大学行く気ないんだから、進学校なんか行かなくていいんだよ…



そんな事を考えていた。



でも本当にいいのかな…
後悔しないかな…
私がここを受けようと思ったのは大学へ行くためじゃない…
私は吹奏楽をやりたかったんだ…



今の私は自分の“逃げ”を正当化しているだけじゃない…!



私は時計を見た。
試験開始から10分たっている。



カリカリカリカリ……

静寂の中、みんなが鉛筆で書く音がする。



カリカリカリカリ……

鉛筆の音が私を焦らす。




でも…、やれるとこまでやろう!
ここまできたんだ…!
私は負けない…!
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