お嬢様とヤンキー
*
目が覚めると、目の前を雲が風に乗って、勢いよく流れていた。
からだが放心してしまっている。
頭がぼーっとして、じんわりと思い出す。
そして、沸きだしてくる悔しい想い。
「ご機嫌いかがですか?」
覗かせた顔をみて、弘人の頬に一粒、涙が流れた。
弘人は目を乱暴に擦りあげ、上半身をあげる。
顔を覗かせた椎名に見えないよう、素早く。
その弾みでからだを痛めているのがわかった。
「イタタタ」
「大丈夫ですか?」
「くそっ」
太ももを思い切り拳でぶつけたら、ただ痛かった。
「時間がありません。早くいきましょう」
椎名が急かしたてる。
「ああ」
そうだ。
南北戦争にいかなくては。
弘人は起き上がった。
ふらりと、からだが傾く。
「危ない」
「触るな!」
支えようとする椎名を弘人は怒鳴った。
弘人がやっとの想いでガードレールに掴まる。
「やはり、僕が出なくてはならないようですね」
弘人は椎名に顔を向けた。