秋の空を
「お礼にあたしの秘密を教えてあげる。」

「秘密?」

「大地くんだけに教えちゃう。
誰にも内緒よ。」

そう言って、風子ちゃんは僕の耳に口を近付けた。

「実はね、あたし妖精なの。」

「妖精?」

「そう。秋の妖精よ。」

うちのお姉ちゃんに聞いたことがある。

「花とか木には妖精さんがついていて、自然を守ってくれるの。
心が綺麗な人には妖精さんが見えるのよ。」
それから妖精さんはとても小さくて、羽が生えているって言ってた。

でも、

「風子ちゃんは小さくないし、羽もないよ。
本当に妖精さんなの?」

と聞いたら、突然風子ちゃんの背中から薄いピンク色の羽が伸び出てきた。

それから体がみるみる小さくなって、僕の手の平くらいの大きさになった。

「あたしたちは人くらいの大きさに変身したり、羽を閉まったりできるの。
空だって飛べるわ。」
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