上海ふたりぐらし

トラブルメーカー

　ハードながらも楽しく過ごしていた中国語漬けの日々。しかし、そのツケはちゃんと回ってきた。ある日、いつものように息子が寝たあと、ショートメールをしながら勉強していた。小腹がすいたのでビスケット一袋とパンを食べた。ちょっと食べ過ぎたみたい。Ａに、「おやすみ」と送ったのが、夜中の２時ごろ。それからすぐベッドに入って、異変に気づいたのが朝方５時過ぎ。
　なんだか胃の辺りが痛い。もともと胃腸は丈夫じゃない方で、腹痛や胃痛はしょっちゅうなので慣れていた。少し我慢すれば治まるだろうと、この時も軽く考えていた。しかし、痛みは増すばかり。陣痛のように痛みの間隔もどんどん縮まって、吐き気も加わり、最悪の状態に。尋常ではない激痛に耐えながら、Ａにメールを送った。
「助けて、気分が悪いの。寒気がしてお腹も痛い。」
　普段よく冗談を言い合っていた私たち。私はＡがメールに気づき、そして私の言っていることを信用してくれることを願った。しかし、朝の５時過ぎに気付いてくれるだろうか？私自身も痛さと眠さで朦朧とした意識の中、ひたすらＡからの連絡を待った。
　便器のわきにしゃがみ込み、痛さに耐えていたとき、誰かが呼び鈴を押した。玄関に向かおうと立った瞬間、ひどいめまいに襲われその場にくずれ落ちた。体をひきずりながら、玄関に向かった。来客は、警察。たぶん、外国人の居留調査。不法滞在者がいないかどうかを調べるために来たらしい。私は今、気分が悪いので、今度にしてくれるよう頼んだ。