お大事にしてください
痛み止め3
辺りは、花火の煙で霞んで見える。一度しか行った事はないけれど、まるでコンサート会場のようだった。
「終わっちゃったね。」
「すごかったですね。」
「あぁ、もっと見たい。」
部員達は口々に感想を言っていた。その表情はみんな笑顔だ。しかし、その中に一人だけ笑顔ではない生徒がいた。幸だ。
「お、お腹痛い・・・。」
小声で漏らした。しかし、みんな花火の余韻に浸ったまま、誰一人として気がつかない。そして、道が分岐する度に一人消え、二人消え、気がつけば幸一人になっていた。
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