お大事にしてください
大小の様々な虫が、ゴミ袋の周りを飛んでいる。棄ててあるゴミは、ほとんど生ゴミの類だった。だから、これほどまでの異臭を放っているのだ。
(臭い・・・。)
理緒は思っても、口には出さなかった。母親の事を想うと、口に出す事は出来なかった。
「お母さん、大丈夫?」
「大丈夫だよ。」
そう言っている母親の顔は、疲労で歪んでいた。そこまでして片づけているにも関わらず、ゴミの山は減った気がしない。どれくらいの量なのか、考えるのも嫌になった。
片づけても、片づけても終わらない。
結局、夜になっても片づけは終わらなかった。
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