お大事にしてください
さようなら5
「ありがとうございました。」
老人の声を聞く事もなく、伊織は急いで店を出た。理由は簡単だ。どうもあの老人は信用できない。なんとなく、お釣りをごまかされている気がする。そうでなければ、わざわざ百円玉だらけのお釣りを渡すなんて事はないだろう。そう考えての事だ。
お釣りを掌に乗せ、数えてみた。
「やっぱり・・・。」
百円玉が、二枚も足りない。
今の伊織にとっては、百円玉二枚は大金だ。
再び、店へと足を向けた。
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