お大事にしてください
古い家が、何代も受け継がれる事が出来るには理由がある。
家の中を見回せば、太く黒光りした柱が何本も見える。見上げれば、同じように黒光りした梁が、存在感を誇示し続けている。
これでもかと言う丈夫さ。それが理由だ。
丈夫さと引き替えに、古い家には欠点もある。それは収納の少なさだ。
最近はテレビを点ければ、あちこちで収納特集を見る事が出来る。マンションの広告を見れば、ウォークインクローゼットの文字を見ないものはない。それくらいに、今は収納がある事を良しとしている。しかし、古い家にはそれがない。代わりに、あちこちに箪笥を置く事で、その収納の少なさを補っている。
これらが幸にとっては、悩みのタネだった。
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